
東京を拠点に全国のライブハウスで活動している「あいくれ」さん。
ポストロックと言い切ってしまえないような、とても透明感があり伸びのあるボーカルの声が印象に残っており、バンドの顔にもなっていると思う。
女性ボーカル特有の高音は確かに高音なのだが、意図的に音程以外の過度な抑揚を抑えることで、独特の雰囲気を出しているようにすら感じる。
それがこの透明感を出しているのだろうか。
なんというか上手い言い回しや正しい表現ができないのだが、本当に印象に残る声だと感じたので、是非聴いてみてほしい。
その上で楽器隊に耳を向けても、いかにもポストロック系といえる太いベースサウンドやディレイをかけた広がりのある空間系のギターサウンドから、ロックやJ-POP系にあるようなキャッチーなサウンドまでと幅広く演奏している。
ボーカルの歌詞も基本は日本語を中心としており、音楽性としては、独特な世界観を表現しつつ、王道のポップスやロックとポストロックの中間という表現がもっとも近いかもしれない。
この記事で紹介している時点でバンドメンバーは全員21歳とのことなので、今後インディーズシーンで、ますます勢いを感じることになると思う。
リビルド
エモーショナルロックのようなインロトから始まる、優しくて力強くノリのよいロックナンバー。
勢いを感じさせるイントロからつながるAメロ、Bメロでは動くベースラインが良い味を出しており、透明感のあるボーカルとの対比がきれいだ。
サビに入ると王道のエパワーロック系になり、とてもキャッチーなフレーズになっている。
その後の間奏やCメロではポストロックの系譜を感じる空間系の表現を入れてみたりと、アレンジにも非常にこだわりを感じることができる。
アイデンティティ
こちらはバラード調の曲となっている。
公開されているPVの映像と歌詞の内容や楽曲のイメージがぴったりあっている。
広がりのある壮大なサウンドの楽器隊と、やはり透き通ったボーカルの声がとてもマッチしている。
3分20秒と短めの楽曲だが、メロディ部分やサビを含めて同じようなリフやフレーズはほぼ繰り返されないので、気づいたら曲が終わっているようにすら感じた。
個人的には、途中の3拍子部分の終わりからサビにかけて、ボーカルのフレーズが繋がって伸びている部分のアレンジが気に入っている。