国際レコード産業連盟(IFPI)の発表によると、2015年の世界音楽産業は、ストリーミング配信などによるデジタル音楽の売上がCDなどの物理メディアの売上を初めて上回り、音楽業界全体で3.2%の成長だったことがわかりました。
また、2015年の世界の音楽業界の売上は150億ドル(約1兆6327億円)で、全体の45%がデジタル音楽の売上、39%が物理メディアの売上とも発表されています。
ストリーミングの普及がデジタル化を後押し
もう何度も同じことを書いていますが、2015年は世界的にも多くの定額制音楽配信サービスが開始したことにより、デジタル音楽の中でも、特にストリーミング配信による売上が飛躍しています。
レポートによると、2015年のストリーミング配信による売上は、前年から45.2%も増加し29億ドル(約3156億円)でした。これは、デジタル音楽配信の売上全体の67億ドル(約7292億円)に対しても43%を占めており、世界的にみてもストリーミングによる音楽配信が主流になっていることがわかります。
ちなみに先日紹介しましたが、アメリカでは既にダウンロードによる売上をストリーミングが越えていますので、世界規模でストリーミングの売上がダウンロードを上回るのは時間の問題です。
なお日本は、「取り残された」とネガティブに捉えるか「独自市場」とポジティブに捉えるか難しいところですが、音楽業界の売上全体の75%がCDなどの物理メディア売上に支えられており、続いてドイツが60%、フランスが42%とも紹介されています。
「音楽の価値」を再定義することが重要
また、今回のレポートサマリにおいて、「FIXING THE VALUE GAP」という表現が用いられていることにも注目しました。
これも何度も話題になっていますが、ストリーミング配信などにより気軽に音楽消費されるようになり、アーティストの音楽活動・音楽創作に対して正当な対価が支払われていない問題を、どう解決するかということです。
特にYouTubeなどの「無料広告モデル」によるサービスでは、Apple Musicなど有料の定額制音楽配信サービスと比較して、ユーザー数が13倍も多いのに収益が1/3ほどしかなく、「収益」という意味合いで課題があると発表されています。
しなしながら、「音楽を多くの人に広める」という意味合いではYouTubeの貢献度は非常に大きいので、このあたりのバランスを取りながらアーティストに収益を支払っていくモデルを模索する必要があります。
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