LINE MUSICやAWA、Apple MusicにGoogle Play MusicにSpotifyなど、多くの定額制音楽配信サービスが登場していますが、「聴きたいアーティストの音楽がない」「オルゴールばかり!」といった不満の声も聴こえてきます。
ユーザーにとって嬉しいのは「原曲が配信されること」ですが、何故オルゴール版が配信されるのでしょうか?
「オルゴール版でも配信されているだけありがたい」と考えるか、「オルゴール版だけなら、配信しないほうがマシ!」と考えるか。
今回は、そのあたりを簡単に書いていきます。
オルゴールばかりの音楽やアーティストがいるのは何故?
数ある定額制音楽配信サービスでも、共通して楽曲を配信していない音楽やアーティストがいますよね。
10年ほど前に「着うた」が流行りだした頃やiTunesでの楽曲配信が始まった頃にも同じ疑問は出ていました。これは多くの人が疑問に思っていますが、楽曲を配信していない理由は、単純に「権利」の問題です。
原曲の権利を管理しているレコード会社やレーベルの意向で、音楽を配信していないだけです。
では何故、「音楽の原曲」ではなく、「オルゴール版」が配信されているのでしょうか?そこには音楽配信における権利の難しさ、権利ビジネスならではの理由があります。
音楽配信における著作権と原盤権の違い
では、そのあたりをざっくり書いていきます。
少しややこしくなりますが、音楽や音楽配信サービスにおける「権利」には、「著作権」と「著作隣接権(原盤権)」があります。
もちろん他にも権利はありますが、今回はこの2つにフォーカスしてみます。
みなさんが聞き慣れている「著作権」は、言葉通り音楽の製作者の権利ですね。旋律や歌詞など、音楽そのものの権利です。
一方、「原盤権」を簡単に説明すると、楽曲を制作・マスタリングして制作したCDなどにおいて、「(CDなどに)録音された音そのもの」に対する権利になっています。
音楽配信サービスにおいて「楽曲(CD音源)が配信されるか、されないか」の権利は、この原盤権の利用許可に左右されているというわけです。
大抵の場合「原盤権」は、CD音楽を作成したレコード会社が持っていますので、アーティストの意思はともかく、原盤権を所有しているレコード会社が楽曲(音源)を配信するか否かを決定しているということですね。
楽曲のオルゴール版にも原盤権が存在する
ここまで書いてきたことから想像がつくかもしれませんが、オルゴール版の音楽にも、きちんとオルゴール版の音における「原盤権」は存在しています。
そう、オルゴール版の原盤権を所有しているレコード会社やレーベルが、各種音楽配信サービスにオルゴール版の楽曲を配信しているというわけです。
もちろんオルゴール版を作成するにあたって、JASRACに使用料を支払うなどの形で「原曲の著作者の許可」はとっていますよ。
逆に、オルゴール版の作成を認めていない(=著作者が権利を許可していない)場合は、オルゴール版すら存在しないです。うーむ、ややこしい。
まとめると
今回は、かなりざっくりと書きましたが、いかがでしょうか。
音楽配信サービスは、特に「原盤権」が大きく絡んできますので、同じアーティストでも、レーベルの移籍などによって全ての楽曲を聴くことができないという現状になっています。
この辺りも機会があれば書いていこうと思いますが、「オルゴール版しか存在しない」理由や、音楽ビジネスや音楽の権利関係って、相当複雑ですね。