兼ねてからYouTubeによる音楽価値のズレ、いわゆる”Value Gap"を主張しているIFPIなどに対し、YouTubeは音楽ビジネスに悪影響を及ぼしていないとGoogleが主張するレポートをRRBエコノミクスが発表したようです。
レポートによると、YouTubeは音楽業界に悪影響を及ぼしていないどころか、YouTubeがなければ人々が音楽に接する機会は85%も減少するとも言及しています。
YouTubeは音楽業界に年間10億ドル貢献
RRBエコノミクスのレポートによると、2016年の1年間で、YouTubeは広告だけで音楽業界に10億ドルを支払ったと主張しています。
また、YouTubeにミュージックビデオなど公開することにより、アーティストにとってのプロモーションにも貢献していると強調しているようです。
さらには先ほど紹介したとおり「YouTubeがなければ人々が音楽に接する機会は85%も減少する」とも言及しています。
また報告書によると、仮にYouTubeがなかった場合、人々が音楽を聴いている時間そのもの約50%が、音楽以外の活動時間に転用されるだけでなく、人々が音楽を聴く手段がなくなることから、音楽を聴く手段としてファイル共有と著作権侵害が横行することも示唆されています。
しかし、IFPIやBPIなどはこの主張に納得していないようですね。
YouTubeがなければ、より価値の高い音楽サービスを使うだけ?
この主張を受けても、BPIのCEOによると、事実として85%のユーザーが音楽をYouTubeで聴いているのであれば、やはり収益源として音楽ビジネスには貢献していないと主張しています。
さらには、YouTubeで音楽が利用できない場合、ユーザーはより高い価値のサービス(有料の定額制音楽配信サービス)に移行するとも言及しています。
IFPIも同様の声明を発表しており、「YouTubeは公平な音楽利益の分配に失敗し、アーティストや作曲者に適切な報酬を与えていないがゆえに、世界最大の音楽プラットフォームとして成り立っている」とも述べています。
うーん、これは本当に難しい問題です。
”Value Gap"については過去記事でも紹介していますが、IFPIは「"Value Gap"は、音楽業界の将来の持続可能性に対する最大の脅威」とも表現していますので、今年は、このあたりの整備に本腰が入るかもしれません。
ただ個人的には、YouTubeがない世界は想像できないですし、仮に無くなったとしたら、音楽を聴くユーザー自体が本当に減ってしまう気もします。
また仮に無くなったとしても、ユーザーが代わりの音楽サービスを求めて「より価値の高い」有料の定額制音楽配信サービスに移行するかは確認のしようがありません。
僕個人としてもどちらが良いのか結論は出ていないのですが、今後の動向が気になります。
Source:
BPI and IFPI slam Google-commissioned report claiming YouTube is not bad for biz