全米レコード協会(RIAA)が発表した最新の音楽販売統計によると、2015年のアメリカ音楽市場において、初めて音楽ストリーミングサービスの売上がダウンロードの売上を上回りました。
先日、「2015年は世界的に見ても音楽ストリーミングによる収益が2倍以上になっている」という記事も紹介しましたが、公式なデータとして、ついにストリーミングサービスが売上ナンバーワンの音楽サービスになりました。
売上の3割をストリーミングサービスが占める
今回の発表によると、2015年のアメリカ音楽市場の売上は、全体で前年比0.9%増の70億ドルとなり、5年連続で前年の実績を上回って成長を続けています。
そのうちストリーミングサービスの売上が全体の34.3%を占めており、ダウンロード販売の34.0%、CDなど物理メディア販売の28.8%を上回って、ついに最大の比率を占めるようになりました。
2015年は、Jay Zの高音質ストリーミングサービス「Tidal」や、1,000万人以上の有料会員を獲得したと報じられている「Apple Music」など新しいサービスがローンチしたことに加えて、最大手である「Spotify」も会員数を急激に伸ばしたこともあり、ついにダウンロード販売を上回るかたちになりました。
有料サブスクリプションモデルの伸びが顕著
また報告書内では、ストリーミングサービスは、SpotifyやApple Musicなどの「有料サブスクリプションサービス」、PandoraやSIRIUS XMといった「ラジオ型ストリーミングサービス」、YouTubeやVEVOといった「非サブスクリプション・非オンデマンドストリーミングサービス」の3つ区分に分けられています。
2015年は、いずれのストリーミングサービス区分も売上高が増加していますが、なかでも「有料サブスクリプションサービス」が最も成長しており、売上が前年の8億ドルから12億ドルへと52%増加しています。
繰り返しになりますが、やはり「Apple Music」や「Tidal」のスタートが大きく貢献していますね。
日本は今後どうなるか
日本においては、2015年のCDなど物理メディアの生産実績金額2,544億円に対し、ストリーミングやダウンロードといったデジタルの有料音楽配信売上実績金額は471億円となっており、まだまだ物理メディアの規模が大きいです。
比率にすると、デジタルは15%ですね。
しかし、2015年の年間物理メディア生産実績が、数量で前年同期比99%の2億2,372万枚・巻、金額で同100%の2,545億円と伸びが止まっていることに対し(前年同水準というだけでも驚きですが・・・)、有料サブスクリプションサービスは、対前年比158%で成長していますので、今後はこのあたりの比率も変わってくると考えられます。
変わる変わると言われて中々変わらない日本のCD文化ですが、今後の動向も注目です。
Source:
News and Notes on 2015 RIAA Shipment and Revenue Statistics (PDF)