サブスクリプション型音楽配信サービス業界も動きが激しいです。
ソフトバンクの子会社でもあるアメリカの大手通信事業者Sprintは、現地時間の1月23日、ラッパーのジェイ・Zが手がける音楽配信サービス「TIDAL」の株式を33%取得したと発表しました。
合わせて、SprintのCEOであるMarcelo Claure氏がTIDALの取締役会に加わることもアナウンスされています。
SprintとTIDAL、双方の加入者増加が狙い
SprintとTidalは、近日中には約4500万人の既存スプリントユーザーや今後の新規ユーザーに対し、TIDALが独占提供するアーティストのコンテンツを無制限に提供するとしています。
Sprintはアメリカの大手通信事業者ですが、現状は大手4社中の4番手という状況ですので、TIDALのコンテンツを独占的に提供できれば加入者増加につなげることができると考えたようです。
一方TIDALも2015年からサービスを提供していますが、定額制音楽配信サービス業界では「Apple Music」や「Spotify」といったライバルに、加入者ベースで大きな差をつけられていました。
Sprintのユーザーに独占的にTIDALを提供することで双方の加入者増加が狙いのようですが、果たしてどうなるでしょうか。
「他者サービスの独占提供」は成功するのか、コンテンツが鍵に
ここからは僕の考えですが、特定の通信事業者が「他者のサービスを独占的に提供」しても、なかなか加入者増加に直結することは難しいと感じています。
「独占提供する他者のサービス」が、本当にその会社しか提供していないサービスであれば話は別かもしれませんが(そんなものはない)、TIDAL同様の音楽配信サービスはSpotifyやApple Musicが提供していますよね。
きっと多くのユーザーは「Sprintに加入しないとTIDALが聴けないのであれば、他の音楽配信サービスで良いや」と感じるのではないでしょうか。
もちろんTIDALも「MQAによるハイレゾ相当の音楽ストリーミング配信」であったり、カニエ・ウェストやビヨンセといった大物アーティストの楽曲を独占配信するなど、独占コンテンツに力を入れていますが、こういったコンテンツ力が、どこまでSprintのサービス加入者増加に繋がるかは、疑問が残ります。
「あの曲を聴きたいからTIDALを使うために、Sprintに加入する」といった言葉にするとかなり回りくどい道のりになりますが、今後の動向にも注目です。
Source:
Sprint Acquires 33 Percent of TIDAL and Creates Game-Changing Partnership