YouTubeの公式ブログが興味深い発表をしていたので、紹介しておきます。
ブログ記事は、「YouTubeは過去12ヶ月間の広告収益だけで、10億ドルを音楽業界に支払った」という内容です。
アメリカだけなのか、全世界でなのかは言及されていませんが、おそらく全世界においてでしょうか。
広告だけで10億ドルという金額、今の音楽業界においては大き過ぎる数字ですね。
音楽ビジネスは「サブスクリプション」と「広告」が収益の柱に
今回のブログ記事は、今後の音楽業界・ビジネスにおいて「サブスクリプション」と「広告」による収益が柱になっていくことについても言及しています。
アメリカにおいては、テレビを視聴するためにもテレビ局との契約(サブスクリプション)が必要になっていますが、音楽ビジネスも同じように「サブスクリプション」が主流になり、さらには、音楽を聴いているとスポンサーの広告が流れるような想定でしょうか。(すでにラジオがこういったビジネスモデルですが)
実際、IFPIのレポートでは、2015年の世界のデジタル音楽配信売上は67億ドルとなっていました。
2016年はストリーミングのサブスクリプション契約が大きく増えていますので、デジタル音楽配信の売上全体は大幅に増加していると想定できますが、それでも、今回YouTubeが発表した10億ドルの支払いは大きな数字です。
広告による収益は音楽業界に貢献していないと皮肉を言われることが多いYouTubeのビジネスモデルですが、これは大きな転換期かもしれません。
今後も議論が続く「1再生あたりの価値」についての問題
しかしながら、広告収益について語る際には、「1再生あたりの価値」についての問題が必ず付きまとってきます。
以前にも紹介しましたが、これまでのデジタル音楽ビジネスは「1ダウンロードあたり◯円のロイヤリティーを支払う」というモデルでした。
しかしストリーミングが主流になった現在、この概念は通用しなくなってきています。
今回YouTubeは「10億ドルを支払った」とアナウンスしていますが、例えば「音楽が1000兆回再生されたので、10億ドル支払った」のであれば、1再生あたりの価値は非常に薄くなります。
これではアーティスト側やレコード会社側にも不満が出てくるというのが、現実の問題です。
実際に、こういったロイヤリティー分配の考えを見直そうという動きも出てきていますが、今回のYouTubeの発表が議論に
どのような影響を与えるのか、音楽業界の動向に何か影響を与えていくのか注目です。
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