2010年結成、2014年5月から現メンバーで活動しているピアノロックバンド「the phenomenons(ザ フェノメノンズ)」さん。音数が多いのに、ものすごくキレイなピアノに耳が惹かれた。
透き通るピアノが印象に残る
公式サイトに記載されているバンドさん自身の紹介を引用すると、
オルタナティヴ、ポストロック、シューゲイザーなどを取り込みつつ、ピアノを基調とした独自の音楽性を追求している。新世代ピアノオルタナティブロックバンド。
と、なっている。
うん、確かにその通り。空間系の雰囲気を出しながらも、なかなか聴かない感じの「音数が多いのに透き通っているピアノ」が印象に残る音楽は、確かに新世代のオルタナティブロックかもしれない。
勝手な想像だけど、たぶんピアノの方が曲を書いているんだろうな。もし他の人が作った曲にこんなアレンジのピアノを入れたのであれば、ピアノの方は本当に凄いと思う。ちょっと上から目線な文章ですみません。でも、本当にそう思うくらい、ピアノが前面に出てきている。
前にも書いたけど、ロックバンドというかバンドスタイルにピアノをキレイに入れて音数も多くすることは、かなり難しいことだと僕は考えている。バラードとかポップ系とかだとピアノが中心になっている曲もたくさんあるけど、ことさら「ロック調」となると、他の楽器と違和感なく混ぜることが大変だ。そういう場合、どうしてもピアノは控えめに音数が少なくなったり、他の楽器の隙間を埋める役割になることが多い。
それをこの「the phenomenons」さんは、ピアノがやりたいことを全部やった上で、透き通った空間系・残響系・幻想的と言えるロックサウンドを演奏されているので、聴いていて心地良い音楽だ。ピアノの音が好きな人にオススメしたいバンドさん。
ピアノDLY
高音域のピアノイントロから始まる幻想的なナンバー。それでいて、ピアノ”ロック”の名が表す通り、アップテンポで疾走感が溢れる一曲だ。
イントロ部分のキレイなピアノリフが、オクターブを変えたり微妙にアレンジしたりしながら楽曲を通して演奏されてているのだが、これが頭から離れない。
また曲全体の構成としても、Aメロの入りはピアノとボーカルだけになるのだが、音数が多いピアノと少し線の細いボーカルの声によって作られる前半から、バスドラだけが入るAメロ中盤、そしてバッキングギターが入ってる加速的流れによって、一気に作品に引き寄せられた。
曲の中には、はっきりとしたAメロ、Bメロ、サビのような分けはないが、空間を埋め尽くすピアノリフが印象に残る一曲だ。
BLACK LEADY
こちらは変則拍子のピアノロックナンバー。基本は4/4拍子と4/2拍子の構成だけど、ちょっと油断して聴くと途中で拍子を完全に見失ってしまう。正直、かなり作りこまれすぎていて、最初はなかなか曲を理解できなかったけど、聴けば聴くほど作った方の魅力を感じてきた。
完全にバンドとしての世界感というか、自分たちの作る空間系・残響系の音楽による世界観を表したようなナンバーになっている。
あまりこんな感じのピアノロックにはこれまで出会えなかったので、また一つ新しい発見をできた一曲だ。
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