年明け以降2017年の各国音楽市場に関するレポートを紹介していますが、カナダの音楽市場も、ストリーミングによる音楽消費量の増加、ライブエンターテインメントによる興行収入の増加、新たなアーティストの登場により、過去最大の成長をしています。
Nielsenの調査によると、2017年の音楽アルバムなど物理メディアによる音楽消費や、定額制音楽ストリーミング配信サービスによる音楽消費を合計した全体では、2016年と比較して13.6%増加したとのことです。実際のとこ物理メディアなどのアルバム売上は前年比17%の減少でしたが、音楽ストリーミング配信サービスによる音楽消費が前年比約71%も増加したため、全体ではプラス成長になっています。音楽ストリーミング配信サービスによる音楽消費は、2017年12月3日には初めて1週間に9億回超えを記録しています。
世界的なトレンドと同じ動きをするカナダの音楽市場
カナダの音楽市場でも、キーワードは「音楽ストリーミング配信の増加」「ラテン系ミュージックの台頭」「アナログ・レコードブーム」が起こっています。
音楽ストリーミング配信の増加
今回の発表によると、2017年の定額制音楽ストリーミング配信サービスは前年比で約71%増加した一方で、デジタルアルバムのダウンロードは前年比17%減少、デジタルトラックのダウンロードは前年比18.8%減少と苦戦しています。しかしながら冒頭紹介したストリーミングの成長により、デジタル音楽の全体的な消費は前年比24.6%の増加となっています。このデジタルダウンロードの減少とストリーミングの増加によるデジタル音楽の全体的な底上げは世界中のトレンドですね。日本も2017年では一部同じトレンドを追いかけています。
ラテン系ミュージックの台頭
カナダの音楽市場もアメリカ同様R&Bやヒップホップが最も人気のジャンルではあるのですが、「Luis Fonsi&Daddy Yankee」の「Despacito」は、カナダのBillboardチャートHot 100で初めて1位を獲得したラテン系の音楽になり、ストリーミングされた音楽の中でも2番目に多い曲となりました。(1位はやっぱりエド・シーラン)
こちらは日本に住んでいるとあまり実感が無いと思いますが(僕自身も、あまり無いです)、世界中の音楽市場でラテン系(スペイン語圏)の音楽がトレンドになっています。
アナログ・レコードブーム
2017年、カナダにおける物理メディアでのアルバム消費はデジタルを含めたアルバム全体売上の53%を占め、これはニールセンが調査を初めて以来最も高い割合になっています。その勢いの要因は、やはりアナログ・レコードブームです。カナダの音楽市場では2017年に過去最高のアナログ・レコードの販売数を記録し、2016年と比較して21.8%の増加となりました。これは7年連続の増加です。
以上が2017年のカナダ音楽市場に関するレポートです。面白いのはカナダの音楽市場もやはり成長しているという点ですね。先日紹介したイギリスの音楽市場もアメリカの音楽市場も成長しています。もちろん日本とは文化も言語も違うので一概には比較できませんが、低迷する日本の音楽業界が変わるヒントになるかもしれませんね。
Source:
2017 CANADA MUSIC YEAR-END REPORT
Ed Sheeran, Hip-Hop and 'Despacito' Highlight Nielsen Music's 2017 Canada Report