国際レコード産業連盟(IFPI)の発表によると、2019年の世界の音楽市場は対前年比8.2%の成長となり、金額にすると202億ドル(約2兆1530億円)となりました。
3月にイギリスの調査会社「MIDiA」が独自に発表したレポートをわずかに下回りましたが、世界の音楽産業は5年連続で成長し、200億ドル超えの着地は2004年以来の記録です。
2019年もストリーミングが市場を牽引、物理メディアは減少
2013年頃から同じトレンドが続いていますが、2019年も音楽ストリーミング配信サービスが世界の音楽市場の成長を牽引しています。
ストリーミング音楽配信の売上は22.9%増加して114億ドル(約1兆2150億円)となり、世界の音楽売上の半分以上となる56.1%を占めました。
2019年末の有料ストリーミング配信サービスのユーザー数は33.5%増加の3億4100万人となり、売上は音楽市場全体の42%を占めるまでになっています。
一方、CDやアナログレコードといった物理メディアの音楽売上は5.3%減少し44億ドル(約4688億円)という結果になっていますが、その減少速度は2018年と比較し緩やかになってきています。
結果的、ストリーミング音楽配信の収益増加が物理メディアの収益減少を相殺して、市場全体の成長を支えたことになります。
日本の音楽市場は世界2位だが、マイナス成長
また、世界の音楽売上を地域別に見ていくと、売上のトップ10は例年と大きく変わらず、上からアメリカ、日本、イギリス、ドイツ、フランス、韓国、中国、カナダ、オーストラリア、ブラジルという結果なりました。
また各地域・各国の成長率を見ると、メキシコ(+17.1%)、ブラジル(+13.1%)、アルゼンチン(+40.9%)、スペイン(+16.3%)といったラテン音楽圏で2桁成長を遂げており、アメリカ(+10.5%)やイギリス(+7.2%)、ドイツ(+5.1%)と、ほとんどの国や地域で音楽市場は成長しています。
一方、日本の音楽市場は、音楽売上トップ10の国の中で成長率だけみると、唯一売上が減少し、-0.9%という結果になりました。
これはCDを始めとした物理メディア音楽の売上-4.8%を、ストリーミングの成長でカバー出来なかったことを意味しています。
実際、日本レコード協会が4月に発表した内容によると、2019年の日本の音楽市場は、CDなど物理メディアが前年比95%の2291億円で、ストリーミングなどの音楽配信売上は前年比110%の706億円と6年連続で増加し、結果的に音楽市場は前年比98%の2998億円で着地しています。
AKBグループやジャニーズなどの影響力が小さくなりCDの売上は確実に減っています。また、現在のCOVID-19の影響によりCD販売延期など続いていることから、2020年は、ますます物理メディアの売上現象が続くと予測できます。
一方でストリーミング配信サービスの利用者増加や、オンラインでの有料ライブ配信など、新しい音楽消費のカタチもでてきているので、日本の音楽市場は、今度こそデジタルシフトするかもしれませんね。
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