本日、”女性アイドルが相次ぎアナログ盤 背景に「アイテム化」”という記事が各メディアで報じられ、以下のように紹介されていました。
インターネットを通じた音楽配信が全盛の中、アナログレコードが見直されています。
日本レコード協会の調査によると2014年の国内のアナログ盤の売り上げは前年比49%増となり、ここ10年でどん底だった2009年の約4倍と盛り返しを見せ、昨年8月には東京・渋谷に専門店もオープンしました。
引用元:女性アイドルが相次ぎアナログ盤 背景に「アイテム化」
この記事は、そういったアナログ盤の取り組みにより、アナログレコードの売り上げが回復してきていること、CDと並行してアナログ盤を販売することで、握手券などとは一味違った、音源そのものであるアナログ盤をアイテム化し深い満足感を与えられるのではないか、という内容で紹介されていますが、果たしてそうでしょうか。
売り上げ規模では比べものにならない
まずそもそもですが、日本はインターネットを通じた音楽配信が全盛ではないです。
残念ながら、「着うた」の衰退以降は、売上規模は右肩下がりです。
先日、国内での有料音楽配信「Music Unlimited」も終了してしまったし、どうなることでしょうか。
話がそれましたが、2014年のCDとアナログレコードの生産金額規模を比較すると、アナログレコードは約7億円、CDは約1,841億円となっており、なんとその差は約270倍です。
以下、2007年からのCDとアナログレコードの生産金額推移です。
CDの生産金額
アナログレコードの生産金額
このように、確かにアナログレコードは4年間で4倍に成長するなど盛り返してきていますが、CDが8年間で失った1,430億円もの金額を、とてもではないですが埋められる状況にはありません。期待の有料音楽配信分も2014年の国内売上は437億円となっており、足してたところで音楽業界が失った売上は全く埋めることができない状態です。
奇しくも、このアナログレコードが盛り返しているニュースと同じタイミングに発表された2015年3月度の音楽ソフトの生産実績は、金額で前年比79%の232億円となっており、残念ながら確実に減少しています。
新しい取り組みは大歓迎
とはいえ、今回のようなアイテム化したアナログレコードの取り組みは、音楽業界に確実新しいトレンドを作ると思います。
これまでも「握手券の同梱」、「ジャケット違いのCD○種類」、「○種類同時購入で特典」など、様々な方法で音楽以外の付加価値が登場してきました。その効果があってか、2012年には一時的にCDの生産金額が下げ止まるといったこともありました。
こういったCDの販売方法が良いか悪いか、本当にいい音楽かどうかは賛否両論ありますが、とにかく元気のない音楽業界で、新しい価値を見出す取り組みはどんどん出てきて欲しいです。
”アナログレコードといえば音質が良い”というのがこれまでのアナログレコードに対するイメージでしたが、”アナログレコードは大きなジャケットでアーティスト表現が見れて良い”というイメージに変わっても良いと思います。現にBABYMETALはそういった戦略のようですね。
過去に何度かこのブログでも記載していますが、ユーザーが本当に欲しがっているものを届けることが音楽業界に限らず大切なことなので、新しい価値を自分たちで作り出して提供していくことに意味があると思います。